“月5万8000円のアパートの郵便受けに入っている、3億2千万の分譲マンションのチラシ 今年イチ笑った”
個人的に
最も観ることの無いジャンル“ラブロマンス”もの。
大抵スルーのこの類。
どう言うわけだがこれは気になって気になって仕方なくて、、、
2024年春手前、今更の初見。
菅田将暉、流石です。
有村架純、カワユス。
このビッグネーム共演にプラスして恋愛モノのエキスパートが監督&脚本のタッグときたら、我々オサーンは“カンチ!セックスしよ”的な令和版ラブストーリーを想像しちゃう訳で。
うん。
確かに令和版ピュアラブロマンスは間違いない。
ただ、我々が通り過ぎてハマりまくっていたトレンディなんちゃらのソレらとは比較にならん程に等身大且つ普遍的で親近感やありきたり感へ徹底的に振り切っている。
これは脚本演出も然りだが、何より輝かしい歴戦オーラしかないW主演二人が、こうも素朴でどこにでも居そうなカップルを演じてしまう巧みの演技力に、一般人である我々鑑賞側は完全に自分たちを主人公二人に投影させることが出来て、アノ人とのあんな時期、いつかの大恋愛とその終わりを思い出しては笑みを浮かべたり切なくなったり、、、【花束みたいな恋をしていた】自分たちを懐かしむことが出来る良作となっていたので不意を食らったと言うか、
「たまにゃ良いなぁ〜、恋愛モノも」
と素直に楽しめる。
本作ではサブカルをメタファーにして、さまざまな【恋】と【現実】を映し出しているが、観ている側はサブカルに留まらず、あらゆる感性や“好き心”のチューニングが合った人との出会いや付き合いや幸せの至りを振り返り、キュンとなるんじゃないかなぁ。
その演出や演技がとにかく繊細で丁寧で上手な作品。
調布駅から徒歩30分
決め手はベランダから見える多摩川の風景
サブカル大好き青年の筈の麦が
パズドラでやり過ごす程度が日常に変わる社会人としての惰性。
誰でも出来る仕事なんか、、、と
キレて配送トラックを海に沈める労働者。
冠婚葬祭へ共に参列する同棲カップルの現実と心境と決断の親近感。
くどい程の普遍的なシーケンスによって、とんでもなくありきたりな恋愛を演出する事で、実にありきたりな作品に振り切る技が冴え渡っている点がこの恋愛映画の凄いところかと。
なんと言うか、令和の若者が昭和歌謡に心を持っていかれるアノ感覚に近いのかな?
剥き出しのリアルな恋話をリリックにしていた昭和歌謡に近いドロドロ感と胸キュンみに帯びている。
毎回
菅田将暉作品で記述しているかも知れない感想が今回も、、、
「やっぱり菅田将暉作品にハズレなし」
あ、
オダギリジョーも然り。