キラリ

花束みたいな恋をしたのキラリのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.7
“はじまりは おわりのはじまり”

この先の人生で何度も観返すであろう恋愛映画の傑作。

とにかくリアル。現代の恋愛をここまでリアルに描いた映画がこれまであっただろうか。現代の恋人をここまでリアルに、かつ自然に演じ切れる俳優がこれまでいただろうか。麦も絹もごく普通のどこにでもいそうな人間で、内容自体も特に目新しいものでもないと思うんだけど、恋愛の本質や男女の違いをここまでシンプルに描いた作品ってこれまであまりなかった気がする。

内容は、ざっとこんな感じ。好きなものが同じ人と偶然出逢った。ここまで趣味が合う人は他にいない。この出逢いはきっと運命だ。ただ、共通点が多いからこそほんのわずかなズレが気になってしまう。そして、社会という“現実”の厳しさが、2人の間を徐々に引き裂いていく。

坂元裕二節炸裂の脚本が素晴らしいのはもちろんのこと、なにより圧巻だったのは、この脚本に命を吹き込んだ主演の2人だろう。特に、有村架純。一言二言では表現できないくらい本当に本当に素晴らしかった。あたかも絹という登場人物が実在しているかのように思えて、さらに私自身絹に感情移入しすぎてしまい、ラストでは涙がでてしまったほど。

夢のような理想の恋愛が、現実の厳しさによって壊れていく様が丁寧に丁寧に描かれていて、思わずかつての自分の恋愛と重ね合わせてしまった。観終わった後は、しばらくその余韻に浸っていたくて、すぐにその場から立ち上がれなかったな。
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