無知A

すばらしき世界の無知Aのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.0
自分の人間性を社会に適合するようねじ曲げて生きていくというのは、ある種の死にも近いのかなと、今作では感じた。これは昔、『シャッターアイランド』という作品を見た時にも感じたことだが、自分の生き方を変えるというのは難しいものだなと思う。

さて、今作は『すばらしき世界』というタイトルだが、すばらしき世界とはどのようなものか。私は、これを多数派の人間による社会秩序が保たれた世界だと考えている。社会秩序というと、本来は皆が共存できる社会を保つためのものだが、その反面、少数派の切り捨ても行われる。そして、その皮肉こそが今作のタイトルなのだと私は思う。

正直、残酷な話だが、国家や集団の社会的秩序を前にすれば、個性は多勢に無勢、もはや裁判で求刑を待つばかりの被告人だと思う。これは、決して良いとは言いきれないが、それによって秩序が保たれるのも事実。本当に矛盾だらけだが、すばらしき世界がすばらしいというのは、ある意味事実である。


(内訳)
面白さ 4.0
学び 4.2
構造 3.8
無知A

無知A