佐藤哲雄

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEの佐藤哲雄のレビュー・感想・評価

5.0
ミッション:インポッシブル / デッドレコニング PART ONE

『ミッション:インポッシブル』シリーズの第7作目だ。

公開2日目で劇場まで足を運んで鑑賞してきたよ。

本シリーズの慣例になっていることだが、のっけから鑑賞者の目を釘付けにする手法は本作でも健在だった。

本作を劇場へ観に行くにあたり、初作から第6作までを予め観直して復習をしたよ。

シリーズを通してのテーマである『仲間のために自分の命を捨てられる』という深い哲学に沿って全ての物語が展開してゆく。

イーサン・ハントは、自分や仲間のために死んでゆく仲間たちの思いを十字架として背負いながら、愛する人たちと見知らぬ人たちのために命を賭す、という使命を全うし続けている。


本作は、デッドレコニングの前編だが、話半分であるということを微塵も感じさせない迫力と、登場人物たちの息もつかせぬ迫真の演技の連続により、2時間43分が1時間半程度に感じられるほどに目がスクリーンから離せない、一切手抜き無しのザ・映画を、トム・クルーズと制作スタッフたちは我々に見せつけてくれたよ。

そして、後編であるPART TWO の舞台が、いよいよデッドレコニングなのであろうことを、観るものに予感させる終幕は見事だよ。

前編も後編も筋書きが薄々見えているにも関わらず、次はどんな不可能を可能にしてくれるのだろうか、と言う未体験レベルのハラハラドキドキへの期待感を最高潮に引き上げてエンドロールに突入してくれる引っ張り方もまた、腹立たしいほどにお見事だったよ。

本作で何よりも面白かったことは、イーサンが不可能だと言い張る無茶な作戦に対して、ベンジーが熱量で説き伏せるという場面だ。

その無茶な作戦を受け入れたイーサンが、作戦を実行している最中もなお、成功するとは思えないと叫びながら命を賭け続けるという、もはやコメディなのかシリアスなのか分からないギリギリの演出が実に面白かったよ。

また、『ザ・グレイテスト・ショーマン』でジェリー・リンド役を好演したレベッカ・ファーガソン(イルサ役)も、アクション女優として本シリーズに登場するのも、これが3作目になるが……

本シリーズのテーマは、実に奥深く、イーサンが新登場のグレース(ヘンリー・アトウェル)にかける言葉は、おそらくグレースのみならず、本作を観ている人たちの目頭も熱くしたであろうと私は思う。

否、きっと誰しも、あのような言葉を送りたい、または送られたいと、心の奥底で願っているのではないだろうか。

私には、イルサが不幸だとは思えなかったよ。

そして、敵側の刺客であるパリスもまた、決して不幸ではなかったように私は思うよ。


本作はアクション映画、あるいは、スリラー映画なのだが、登場人物たちの深い情と、人の生きる意味を、インポッシブルなミッションを通して語っているように私には思えるよ。

特定の組織に属さない。
誰の命令も受けない。
誰にも強制されない。
自らの使命により命を賭す。

素晴らしいテーマだよ。

そして、過去作と並んで、本作もまた、演出、脚本、アクション、特撮、そして俳優陣の演技ともに、実に素晴らしい映画だったよ。

PART TWOでは、また何を魅せてくれるのか、実に待ち遠しいよ。

先ほど観終えたばかりで、今帰宅をしたところだが、とても気分が良いよ。

ありがとう。

【鑑賞記録】
2023/07/22 劇場にて初鑑賞
2023/08/01 劇場にて2度目の鑑賞
佐藤哲雄

佐藤哲雄