Netflixオリジナル「オールド・ガード」で知ったルカ・マリネッリ主演との事で鑑賞。
20世紀アメリカ文学の傑作「マーティン・エデン」。労働者階級出身ながら、若き日の破天荒な生活を経て大作家になったジャック・ロンドンの自伝的小説が原作。舞台はアメリカからイタリア・ナポリに変更されている。
貧しい船乗りマーティン(ルカ・マリネッリ)は、優雅なブルジョワの"高嶺の花"、エレナに恋をした事から作家を目指す。彼はやがて作家として成功を収め、名声と富を手にするが—— 。
スーパー16mmフィルムを使用し、粗い映像が印象的。今ではない、昔の時代だとはわかるが、本作は敢えて厳密な時代設定を避けているそう。
文学に目覚め、上流階級のエレナ達に憧れていた頃のマーティンは、ただ純粋に知識を求め、タイプライターを購入し、真っ直ぐな瞳で作家の道をひた走っていた。雑誌掲載が決まった時もあんなに喜んでいたのに…。
本が売れ、富と名声を得て、
次第にマーティンの心は荒んでいく。
彼は言う。
"かつて自分の本を拒んだ人達が、今自分の本を求めている。本の中身は変わっていないのに"と。
身分の違いからマーティンとエレナとの恋路は家族の反発もあり、行き違ったまま。
しかし、彼が作家として成功したタイミングで
エレナは言う。
"今までも愛していた"と。
掌返しのエレナを嘲笑い、追い返すマーティンの、半ば狂気じみた言動に驚かされる。
波止場をふらふらと歩くマーティンは、純粋に文学に没頭していたあの頃の自分の幻を見る。
マーティンは何処へ向かうのか。
その先に待つのは、希望か、破滅か。
記録映像も挿入されているので、何せ古き良きイタリアを映し出す映像美に心底見惚れる。
終盤で自堕落な暮らしに溺れ、辛辣な言葉を並べ立てるマーティンは序盤とは全く異なっており、その豹変ぶりを鬼気迫る演技で魅せたルカ・マリネッリが魅力的。
「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを抑え、第76回ヴェネツィア国際映画祭男優賞に輝いたというのも頷ける演技力。
とは言え、面白いとかそんな類の作品ではない。
圧倒される大河ドラマ。そんな感じ。
では、今日も大して面白いレビューにもならなさそうなので、本作と全く関係ないですが、俳句を一句。
ホームラン
白球消える
夏の空
息子が、夏休みの宿題で俳句を考えないといけないとhelpを求めてきましたので、少年野球に没頭する彼に擬(なぞら)え、一句詠みました。
採用されました。
親がしゃしゃり出て、ダメな父親です。
娘のエコバッグ作り(家庭科)も手伝いました。そんな夏休みの1日。