たむたむ

Winnyのたむたむのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.7
「技術に罪はない」

革新的なファイル共有ソフト「Winny」の脆弱性を突いた利用者の悪用が横行したことにより、著作権法違反ほう助の罪で逮捕されることになった、技術開発者・金子勇と弁護士が冤罪を晴らすまでの軌跡を綴った、実話に基づくドラマ。

この事件の事は大まかにしか知らなかったけど、とても興味深い作品でした。
フリーウェアとして配布せず、せめてシェアウェアだったなら、ここまで大きな騒ぎにはならなかったんじゃないか…と思ってしまいましたね。。

私は以前、社内のシステムヘルプデスクに従事していたり、今でもWEB関連の職に就いていることもあってITリテラシーは高い方なのですが、プログラミングは素人なので本編の会話はチンプンカンプン(苦笑)
でも金子氏の技術革新に対する熱意は伝わって来たし、たった2行のコード追記すら許されないジレンマなど、同じモノづくりに携わる身として共感できる部分は多くありました。

緊迫感のある法廷劇に重きを置いたことで、あえてヒューマンドラマに依存せず、メッセージ性の高い作品として仕上がっている点も良かった。

世間的には棒演技で有名な(笑)東出くんが、本作では18キロ増量し、金子氏の遺品であるメガネや腕時計を身に付け熱演。本編ラストに当時のインタビューや会見映像が出てきますが、かなり徹底された役作りが見て取れます。ご本人に会ったことがある人からすると、仕草も良く似ているらしい。

稀代の天才プログラマーから開発の時間を、テクノロジー界から発展の可能性を奪い、大きな遅れを取ってしまった代償、日本の技術者たちの未来と権利を守るために戦った、金子氏の功績は余りにも大きい。エンジニア職の方はもちろん、クリエイター必見です。
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