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パラサイト 半地下の家族のモネのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.0
【悲劇と喜劇は紙一重】

生まれも育ちも良い知人は、愚痴を話すのが上手い。事実だけをみると酷い話なのに、絶妙に笑える自虐に昇華し、周りを楽しませている。本作はこの知人の愚痴のような物語でした。

「貧富の差」という世界的な愚痴テーマを題材にしてるから、どの国でもウケたのがよく分かる。韓国の大学受験の熾烈さは、日本でも毎年報道されるくらいなので、長男の受験失敗という設定はすんなり入ってきました。

テンポよく嘘でしょ?というような上手さで話が進むので楽しめるが、はっきり言って救いのない話である。だから元気のない時にはあまり観るのをお勧めできない。
個人的に救いがないと思ったのは以下の要素。(ややネタバレなので注意)

・成りあがったであろう人物(豪邸の家主である社長、元家政婦、キム一家)は皆獲たもの全てを失う
・優しさを見せた人間はすべからく不幸になる
・その優しさにさえ「他人を見下す思考」が見え隠れしている(特に長男の友人)

生まれと育ちで人生が大きく決まってしまい、それは努力では覆せないこと。
フィールドさえ用意されれば人間みな輝けるが、その土壌は熾烈な椅子取りゲームであること。
こういったこの世の無常を感じた作品でした。
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