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盗まれたカラヴァッジョのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

盗まれたカラヴァッジョ(2018年製作の映画)
3.5
あちゃん考案の【タイトルしりとり】


From あちゃん:007は二度死[ぬ]

→[盗(ぬす)]まれたカラヴァッジョ

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        ルール
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 ・映画のタイトルでしりとり
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 ・回す1文字はパスする人が指定できる
 ・受け取り後1週間以内に回すこと
 ・ハッシュタグ #タイトルしりとり

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天才映画脚本家の裏には、頭のキレるゴーストライターがいた。新作映画の脚本執筆を急かされていた彼女の前に初老の男性が現れ、『とある美術評論家が地下駐車場で浮浪者に殺された事件』を語り聞かせる。それは1960年代に盗難されたまま行方不知になっているバロック絵画の巨匠カラヴァッジョによる作品《キリスト降誕》の真実に迫るものだった。


◆未解決事件を基にした『名前の無い物語』

FBIによって2005年に情報公開された《十大美術品犯罪》の一つに数えられる《カラヴァッジョ『キリスト降誕』盗難事件》は、『シチリアのマフィアによって時価30億円にも及ぶ絵画が、パレルモの教会から盗み出された』というものである。不確かな情報が錯綜し、今なお解決に至らない実在の事件を基に映像化されたのが今作、『盗まれたカラヴァッジョ』である。原題は『Una Storia senza nome(名前の無い物語)』というのだから洒落ている。

テーマとして取り上げられている事件が馴染み深いものではない故、邦題にミスリードされてしまいそうになる。『…で、盗まれたカラヴァッジョは何処に行ったの?』と。今作において《キリスト降誕の盗難》はあくまでダシにすぎず、ここをキックにして映画業界とマフィア、そして捜査官や政治家の思惑にまで波及していくことで良質なサスペンスに仕上がっている。なので『カラヴァッジョあったよー!』なんてことにはならず、そんなことになってしまったらむしろ興醒めなのである。迷宮入りした未解決事件の裏で繰り広げられる《名前の無い物語》こそか、本作の真髄なのである。


◆『映画制作』を通して描くサスペンス

現役時代は組織犯罪と戦っていたという元警察高官が、売れっ子脚本家のゴーストライターに目を付けて接近する。捜査情報を流しながら《映画》というメディアを通して犯人に揺さぶりを掛けようとする。というのが前半の大まかなプロット。

映画業界に入り込んでいた反社界的勢力の手先からの報告を機に『自分たちの悪事が公にされる』とマフィアたちが騒ぎ立てる事で物語が動き出す。『40を過ぎて母親と暮らしている変わり者(お母様セクシー過ぎ問題)』と自らを卑下する主人公が、ゴーストライターという立場を隠れ蓑に、あくまでフィクション作品という体で執筆を続ける。誰が味方で誰が敵かわからないまま、マフィアからの追求をすんでのところで躱すヒリヒリした展開が見物。(無論、ゴーストライターの手柄を独り占めにしていた脚本家のちょいワルオヤジは早々にフルボッコです。)

未解決事件をテーマにしているため、劇中劇の行方がこれまた気になる所。本作においてマフィアを炙り出すために走り出した犯罪映画(劇中劇)の結末はもちろん未定であるし、勿論《絵画が見つかって終わる》というチープなものではない。

純粋に映画制作に関わる者たちと、盗難事件を知りながら映画制作に関わる者たち。それぞれの思惑が絡まり合って一つの映画が制作される過程も面白かったし、オチ(劇中劇)の結末も個人的には好みであった。これは《フィクション作品の中におけるフィクション作品》という立場で、ゴーストライターの願望(ともすれば妄想)が如何なく反映された結末であったと感じられたからである。


*雑記*
遂にあちゃんからの[ぬ]爆撃が炸裂。完全に気を抜いていた所で被弾しました。おピンク沼をくぐりぬけて辿り着いたのはイタリア映画!初のイタリア映画!色気と洒落気がすごかった〜。メンズもお洒落ファッションすぎて勉強になります。