Sasada

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのSasadaのレビュー・感想・評価

4.0
お、これいけるんちゃうん?という期待はことごとく裏切られ、そっちにだけはいかないでくれという祈りはどこまでも破壊される。対話可能性というものを高く見積り過ぎな自分の認識がひっくり返され、それがある種の自由というか風通しの良さを醸す映画だった。そもそも無理なんだよバーカとはっ倒された。

話が通じないのが無理で私は子供が嫌いでして、子育てしてる皆さんすげーなといつも思ってるわけですが、その“通じなさ”は別に子供に限ったものではないよなと。ベニーはもちろんのこと彼女の母も父も同じくらい話が通じず、どこまでもクソムーブかますわけで、我々の社会を普通にサバイブしてるだけでもかなり高度な能力が要請されていることを強調しているようだった。彼らのケアに奔走するブァファネやミヒャがどんどん疲弊するように、この世の中は誰もが知らず知らずのうちに擦り切れていく仕組みになっているのだ。

父親が彼でなければ、彼があんなことしなけりゃ、母親が彼女でなければ、彼女が向き合えていれば、優れた治療を逐一受けさせていれば、、、
いくつものifがあれど、どこかのポイントで救えていればとは思わない。どこのポイントもすり抜けたその先でベニーが健やかに生きていくためのセーフティネットが待っているべきで、sustainableなdevelopment goalはそういうところにあるのだと思う。「マイボトル使っててぇ」じゃねえんだぞと、大企業のキャンペーンにおもちゃを投げつけたくなる気分にはなりました。
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