Sasada

走れない人の走り方のSasadaのレビュー・感想・評価

走れない人の走り方(2023年製作の映画)
3.6
遊び心があってチャーミング。またも猫を逃がす山本奈衣瑠が映画監督役を一生懸命に好演。藝大の卒業制作だそうで、次回作以降も観たいっすね。
「ねーなんで自主映画出身の監督ってすぐ海に来るの?」を誰も拾わなかったり、レンタルビデオ店や線路沿いのやり取りがいわゆる本筋には一切絡まなかったり、82分の映画ながら「無駄な」(もちろん本当は無駄じゃない)シーンがたくさんあって面白かった。

テーマを一言で表現できたり俳優からの質問に即答できる映画や監督ではなく、ただそこにいる人の面白さや愛おしさを切り取る作品で、そこに美しい画が乗ると観て良かったなと思える。

後半に「走り方を変える」ところがあまりに説明的というか、ちょっと軽すぎる気がしたのだけど、トークイベントに登壇された今泉力哉監督は「あそこその場で心変わりするのではなくその後の家のカットで」というようなことを仰ってて、映画って細かなバランスの調整で成り立ってるんですねぇと。
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