ヨダセアSeaYoda

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

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Netflix西部劇『この茫漠たる荒野で』でも印象を残した天才子役、ヘレナ・ツェンゲル。
トラウマを抱え、発狂すると手がつけられなくなってしまう荒々しさと、ただ純粋に愛を求めて周囲の大人に甘えようとする子どもらしい可愛らしさ。
そのギャップを演じ分ける彼女の演技力と、オーラあふれる格別な存在感が今作を濃厚なドラマに仕立て上げている。

タイトルの「システム・クラッシャー」とは、養護施設などでも手に負えないレベルの「問題児」を指している。たしかにベニーの行動・言動は、他の子どもたちもいる教育環境においては大問題で、大人たちの苦労も理解できる。
しかし、そんなベニーの挙動も、ひとえに親の愛・教育が欠乏し、トラウマを抱え、苦しみを発散するしかなくなっているせいであることがわかっているため切ない。

なぜ責任も取れない親の元に子どもが生まれてしまうんだろう。実際にこんな子どもたちが多く存在することが想像でき、リアルな怒りが込み上げてくる。

甘えた生ぬるい物語でないからこそ、現実の辛い問題のことを改めて考えさせる1作。
ヨダセアSeaYoda

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