イチロヲ

我輩はカモであるのイチロヲのレビュー・感想・評価

我輩はカモである(1933年製作の映画)
4.0
新首相に任命された頓狂な男が、アッパラパーな独裁体制を敷きながら、侵略を企む敵国を盛大に煽っていく。戦前戦後のハリウッド喜劇を牽引したグループ、マルクス兄弟の第5作目。

グルーチョが独裁的な新首相、ゼッポが首相の側近、チコとハーポが敵国のスパイ、という役どころ。戦争を児戯のように表現しており、宣戦布告を受けてから始まるミュージカル「We're Going To War」が、屈指の名シーンとして完成されている。

兄弟が披露するギャグでは、合わせ鏡のパントマイムと虚実入り乱れた有事表現が印象に残る。敵軍から集中砲火を浴びている籠城戦の場面で、家財道具がアクシデント的に落下するなど、生身のスタントすれすれの撮影をおこなっているところがスゴイ。

「天才と馬鹿は紙一重」を感じさせられる、バカ田大学出身者のような人物に国政を任せるのは、リアル世界でもやってみる価値があるかも知れない。ザ・ドリフターズの引用元(ほとんど完全コピー)が確認できるところも醍醐味。
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