イチロヲ

ロザリー・残酷な美少女のイチロヲのレビュー・感想・評価

ロザリー・残酷な美少女(1972年製作の映画)
4.0
孤独に苛まれているネイティブ・アメリカンの少女を自宅まで送り届けた男が、唐突に足を骨折させられてしまう。"狂気的な愛情"に束縛された男の葛藤劇を描いている、サスペンス・スリラー。現行の映像ソフトは、非リマスターのため、低画質になっている。

「ミザリー」との類似点を指摘する声が多いけれども、各要素をクロース・アップさせると「悪魔のいけにえ」「サランドラ」の原型も見えてくる。コレといった根拠はないが、後のクリエイターにインスピレーションを与えた作品であることは確か。

本作に登場するヒロインは、奇妙なレトリックと不可解な行動で煙に巻いてくる、いわゆる"電波系の娘"というやつ。孤独を埋める役割を強制させられた主人公と、隠された黄金の強奪を企む悪漢が絡むことにより、サスペンスが動き回る。

ロバにベッドを牽かせて寝かせたままで屋外を移動させるアイデアと、鑑賞者が思っていることを主人公が代弁してくれる演出が面白い。ボロ切れ姿からランジェリー姿に変身するところもグッド。戸川純作詞の楽曲を聴いているような感覚に浸ることができる。
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