イチロヲ

夜の禁猟区のイチロヲのレビュー・感想・評価

夜の禁猟区(1973年製作の映画)
3.5
横浜を縄張りにしているズベ公(梢ひとみ)が、警察のガサ入れから逃走してきた過激派の青年(松川勉)に心惹かれていく。安保闘争の余波を背景にしている、日活ロマンポルノ。

ヤクザ相手に「体で借りを返したんだからね!忘れないでね!」という啖呵を切ることができる意志堅固なヒロインが、特殊な境遇からの脱出を目指す。曲線が美しいスレンダー体型は言わずもがな。頭にスカーフを巻いた、ヒッピー・スタイルが印象的。

ヒロインが海外への高跳びを企む青年と同調するのだが、チンピラ(榎木兵衛)に束縛されている姉(市川亜矢子)が青年と関係をもってしまい、ナンタラカンタラ。健全なカップル像を築くことができない女性の哀歌が描かれる。

日活お得意の銃撃シーンが多く、スローモーション過多の流血描写がてんこもりになっている。"死にそうで死なないコント"のようで、笑いを誘われてしまうが、"敗北者の美学"はそれなりに伝わってくる。
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