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クローブヒッチ・キラーのSSDDのレビュー・感想・評価

クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)
3.5
◼︎概要
クリスチャンが多くボーイスカウトなど地域活動が活発な田舎町。この町では10年前から数人が殺害され、現場には"クローブヒッチ=巻き結び"という結び方のロープが残される事件の被害者が多くいた。
ボーイスカウトの隊長を父に持つ16歳の少年はある時から、父がそのシリアルキラーではないかという想いが頭から離れなくなる…。

◼︎感想(ネタバレなし)
ジュブナイルサスペンスだが非常に重めで淡白、黄色がかったエフェクトがされており淡々と進んでいき少年の苦悩と、家族の生活が描かれている。

緊張感も高く中弛みをあまり感じさせないし、実際に自身の肉親が過去に何か犯罪に関与していたらと思う少年の行動も、父親の行動もリアリティを感じさせる部分はある。
サスペンスとして王道だし、主演の息子、父ともにキャスティングが良かった。

久々に重めの作品を選んだので、ドライでダークな作品に満足です。










◼︎感想(ネタバレあり)
・父親
10年前に犯行を辞めた理由はおそらく兄に知られたことで、兄に露見したことからなのかもしれない。
兄の障害は、交通事故を起こしたことにして暴行したのか、それとも口論中に事故で障害になったかはわからない。

おそらくこの人物は支配欲が強く、自己の全能感を得るために捕縛し殺害することで性的にも快楽を得ていたのだろう。社会的にある程度の地位を得たことで犯行衝動を抑えていたのだが、過去のトロフィー(犯罪証拠)を息子が勘づいたことで改めて見直して衝動が抑制できなくなった様子。

一人で撮影して満足しようとしたができなかった時のベットで叫び暴れる姿は、禁忌とされることを抑えたいと願う気持ちと、殺人衝動の葛藤があまりに悍ましいシーンだった。

・息子
父への信頼、母と妹の未来、コミニティーからの軽蔑、卑劣な犯罪者との対峙とあらゆる方面で苦悩しながらも、なおも信頼した父に裏切られ、発砲されかけたことで決断する。

父を殺害し自殺に偽装するという手段を用いるのだが、彼はおそらく今後病むのだろうと感じる。不正や何かを自身の保身のために公表しないということは許せないタイプに思える。ただ、家族の名誉のために最良の方法を取ったに過ぎないため、何度も父を殺したこと、父がクローブヒッチ・キラーであることなどを命日や被害者を偲ぶ日に思い出すのであろう。

・総評
父から子に継がれたのは仄暗い過去と罪。
前途ある若者は、過去としてこの事件を胸にしまったまま生きられるのだろうか。

犯人の犯行動機や行動の嫌悪感が強く、ジュブナイルとしてはコメディ展開などもなく、ドライに淡々と進む本作なかなか悪くない作品でした。
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