現代アートだった。
現代アート系の映画は割と中途半端になってしまいがちなんだけど、最初から最後まで、途切れることなく、ずっとアートしてくれた。

いわゆるストップモーションアニメにあたるけど、二次元と三次元の使い分け、三次元もクレイ人形と実際の人形の使い分けも、しっかりアートしていた。

摩訶不思議で、気持ち悪い映像に、序盤、リアルに吐き気をもよおしてしまったけど、それを抜けると楽しめた。（船旅のよう^^;）

74分と比較的短い映画だけど、最初から最後まで、アートがぎっしり詰まった映画なので、74分で十二分にお腹いっぱいでした。

ストーリーは、「オオカミの家」に少女マリアが迷い込み、そこにいた2匹の豚に名前を与え、姿を人間にして、服を与え、知能を与え、言葉を与えるも、食料が足りずに人間になった豚たちに食べられそうになる…という話し。

舞台はチリのドイツ人居住区。
彼らは元ナチス党員で、キリスト教系新興宗教を信じる一族だと知っていた方が楽しめるかもだけど、
そんなことを考えるより、近代アートを五感で感じると思って観た方がより楽しめる。

一応、新興宗教を歪さを、アートで示した映画になっています。

まず劇場ほぼ満員で驚いた。これ有名なの？
作品が始まってもパッと見が汚いし…。
しかし我慢して見ていると、だんだん技術的に凄いことが分かってくる。

作品全編がノーカットで変化し続ける。
2次元の絵が次々に3次元になる。
材料から着色まで人形を作っていく様子を見せる。
ストップモーション・アニメとして画期的な作品。

監督、薬ヤってんだろ(自分の中での最大級の褒め言葉)！！！ってぶっ飛んでる映画ホント大好きです！！てか、絶対ヤってます。僕には解ります👁


「Lucia, Luis and the Wolf」三部作。
ルシア(2007)、ルイス(2008)、そして今作オオカミの家(2018)。
物語自体は地続きでないですが、同じ流れの構想の中で作られた作品だそうです。Lucia、Luisに関しては短編です、またYouTubeにアップロードされているのでオオカミの家鑑賞前にレオン＆コシーニャ監督作の世界観の予習にどうぞ。



⚠️注意⚠️
※以下ネタバレ含む考察に進みます。

今作は①現実にあった事件を元に、②御伽噺を用いて、③芸術的な映像表現で作られた作品。

①｢コロニア･ディグニダ｣
ヒトラーを崇拝するパウルシェーファーがチリに設立した宗教コミュニティ。キリスト教の教義を掲げていたが、指導者パウルによる洗脳や性的虐待が行われていた。
ジャ●ニーズのヤベェVer.的なイメージ。

②｢三匹の子豚｣や｢白雪姫｣等の御伽噺の他にも様々な要素がメタファーとして用いられている。宗教とか。

③｢ストップモーション・アニメーション｣、それも3次元と2次元の往来。登場人物や背景、物は元の形を保たず次の瞬間には変化している。
｢諸行無常｣や｢万物の流転｣を感じますね。


各々の要素や組み合わせは唯一無二ではありませんが、バランスの取り方次第で今作の様に前衛的な映像作品が創作されるの良いですね！！いちご大福ですね！



ストーリーですが、抽象的な展開が続くので一見難解な物語に捉えられがちですが要約すると、

｢洗脳や性的虐待を受けていた主人公(被害者)は宗教施設から逃げ出す。隠れ家に篭もり動物達と暮らし始める。しかし、思い通りに世話したいあまり動物達を抑圧してしまう(加害者)。主人公は動物達に逆襲される。結局、主人公は宗教施設へ逃げ戻る(洗脳は解けていなかった)。｣

って話です。
環境や立場が変わると......。ってテーマですかね。

且つ、今作は宗教団体がプロパガンダとして利用していた映像って設定です。



ずっと公開を待ち望んでいた作品でしたが、中々予定が合わず見逃しかぁーと思っていたのですが滅茶苦茶ロングランしていて年内ギリギリで観に行って来ました！
僕は酔っ払った状態で観たのですが、凄い映像体験でしたのでお勧めです！！

観てみな、飛ぶぞ？(長州力感)


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ついでに、2023年に観た新作映画ランキングBEST 10を発表します！！

🥇aftersun
🥈EO
🥉苦い涙
オオカミの家
The Whale
リバー、流れないでよ
Winny
TAR
To Leslie
アイスクリームフィーバー
Crimes of the Future
怪物
聖地には蜘蛛が巣を張る

......13👀?!

2023年上半期は新作旧作問わず沢山鑑賞出来ていましたが、下半期はあまり文化的体力を捻出する事が出来ず映画鑑賞から離れていました......。なのでほぼ上半期ランキングです！参考になったら幸いです！！2024年も自他共に素敵な作品に出会える事を願っています！！