春とヒコーキ土岡哲朗

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREYの春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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今の映画の楽しみは、マーゴット・ロビーを見ること。

マーゴット・ロビーのハーレイを見られる幸せ。
とにかく、このキャラクター造形が完璧で見たくなってしまうのがこの映画の強み。『スーサイド・スクワッド』も本作も、内容は「楽しかった~」程度だが、あのハーレイ・クインを拝めるなら、見るほかない。白塗りがバカげた印象にならず、ゴージャスなものを見ている楽しい外連味なのは、彼女だからできること。それで表情豊かに笑顔や悲しい顔をする顔面の濃さも、『300』のような独特な映像美の域に達している。特に、サンドウィッチを落としてしまったのを大げさに悲しむ顔。「大切なものを失った」と表現するくらい悲惨なことが起きた顔。ぶっ飛んでいるけど喜び、悲しみが素直でキュート。そこに、失恋で泣きじゃくり心を乱す、現実の女の子らしさもあるのがすごい。暴力的で、やはり白塗りから来る笑顔のクレイジーさがあるにも関わらず、ジョーカーと別れて泣き、やけ酒で悪酔いし、思い出しては強がって少し攻撃的になる様が、リアル女性。それはノーラン版バットマンの世界では出ない、『ジョーカー』でも出ない、コミカルさがあるからできる技。クレイジーなヴィランだけどリアルな女の子、というリアルではできないキャラクター。

女性たちの戦い。
5人の女性キャラの物語が皆立っていてよかった。クライマックスで5人が集まったとき、全てのキャラクターが最終試練の場までをクリアしてその場に立っている感じがした。
女が支配的な男や支配権が自分にあると思っている愚かな男を打ち砕く映画は、男が観てもスッキリする。

ハーレイが光るビニールのような素材の派手すぎる服で逃げ回るところや、警察署を襲撃したときの弾丸の代わりに出るカラフルなペイントが、彼女の世界観が現実を打ち負かしていく気持ちよさがあった。

次に彼女が登場するジェームズ・ガン監督の『ザ・スーサイド・スクワッド』での彼女は、どんなバランスで「悪さ」を出すのか楽しみ。