スタンリー・キューブリックが撮った、呪われたホテルにまつわる映画と何の関係もないと思って見れば楽しめる。と言いたいところなんだけど、それを許してくれない作りになっている。
『シャイニング』という名前の物語はふたつ存在する。キングの小説とキューブリックの映画。どちらかが本物で、どちらかが偽物である。「ふたつを和解させる」などと甘っちょろい……というより虫のいいことを言ってはいけない。二者の神を同時に信仰することはできない。それほどこれらは食い違う、というか魂の形が異なると言っていい作品たちである。そのことを再確認させられるような出来だった。
まあ確かにラスト30分ぐらいはそれは盛り上がるけど、それにしても本当に2時間半の尺必要だった? ということもやっぱり感じる。
見る前の予感は大体合っていた。つまり、あの映画史の遺産に触れることを許され得たのはスピルバーグただひとりということである。
マイク・フラナガンのことは嫌いじゃないからますます何とも言いがたい気持ちに。