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ある少年の告白のMrFahrenheitのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
4.0
ルーカス・ヘッジズ演じる牧師の息子ジャレッド。息子がゲイであることを知った両親は、彼を同性愛矯正プログラムに息子を参加させるが…。原作はガラルド・コンリーによる自叙伝。

宗教的でない自分にはジャレッドの育った環境はイメージしづらいが、ルーカス・ヘッジズ演じる繊細だが意思を秘めた主人公と、ラッセル・クロウ演じる悪気はないが意思疎通が難しいタイプの父親は説得力があった。俳優陣は豪華だが嫌らしさがないのもよい。

施設に参加させられた少年少女がプログラムをサバイブする為、それぞれ異なる方法で意識的にも無意識的にも環境に適応しようともがく姿に胸が痛む。にわかに信じ難い転向療法の様子に、先日ドキュメンタリーで見た生々しい映像が脳裏をよぎる。

押し付けられた善意がよい結果をもたらすわけではない。往々にしてエゴは善意を隠れ蓑にする。物語が訴えるメッセージは明確で、ドラマとして分かりやすい。救いもあった。そして忘れてはいけないのは、このプログラムをサバイブできなかった人たちのことだと改めて思う。

最後に流れる、原作者が過ごした矯正施設の指導者の現在に思わずため息が溢れた。