カッコイイ〜!渋い!
かの有名なブルーズマン、マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフを支えたピアニスト"パイントップ・パーキンス"、ドラマー"ウィリー・ビッグアイズ・スミス"、ギタリスト"ヒューバート・サムリン"のサイドマンたちのドキュメンタリー。
ブルーズが発展してロックンロールが生まれ、それが今現在のポップミュージック全てに影響しているのは有名な話。
しかし有名なブルーズマンを支えた彼らのようなサイドマンは一般の人たちには知られていないことがほとんど。
実際ぼくもこの御三方のことは正直言って知らなかった。
マディ・ウォーターズのI Am The Manや、ハウリン・ウルフのKillng Floorなどなど有名曲の後ろに彼ら有り。しかもパイントップとウィリーは『ブルース・ブラザーズ』でジョン・リー・フッカーがBoom Boom Boomを演奏しているシーンでそれぞれピアノとドラムで演奏・出演してたってんだから本当知らなくてごめんなさい。
レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリクス、エリック・クラプトン、オールマンブラザーズ、ジョー・ペリーなどなど彼らが影響を与えた錚々たるミュージシャンたちのインタビューやエピソードがポロポロと出てきて圧倒される。
ウルフのロンドンでのセッションのエピソード凄すぎる。
ミュージシャンたちからの尊敬は集めているのに、報酬や世間一般からの認知に繋がらないもどかしさと苦しみ。
有名ミュージシャンたちが歳を取り不遇だった彼らと共演という形で救おうとするのも頷ける。
余談だけど、昔の音楽業界は最初の契約がとても強力で、リーダーとバンドメンバーとで報酬の格差がかなりあったらしい。この辺りはこの映画でも度々話題にあがったチェス・レコードを元にした『キャデラック・レコード』という作品に詳しい。
「あの頃は貧乏でも楽しかった。人生はそうでなくちゃ」と笑うウィリーがカッコイイ。
ぼくの世代は00年代の所謂ロックンロールリバイバルが起こってたから、ホワイト・ストライプスやブラック・キーズといったブルーズモロ出しのバンドもいたし、ストロークスなんかもモダンレトロな音楽をやってたからブルーズに抵抗ない人が多いんじゃないかなぁ。ちなみにぼくはジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンも好きだし、日本のキングブラザーズも大好き。
「目覚めと同時にブルースのことを考え、ブルースを絶やさないために努力してる」
彼らのおかげでブルーズは絶えずに、若い世代にも引き継がれてきた。
彼ら3人が亡きあと、パイントップの基金でプランテーション跡地のブルーススクールでスティーヴィー・レイヴォーンを練習する少年。そして実際にパイントップが綿を摘んでいたであろう畑の跡地でブルーズを演奏する10代の白人と黒人の少年たち。
カッコイイおじさんたちがちゃんと引き継いでくれたから、今でもぼくたちはイカすブルーズを聴くことができるのです。