クリーム

シリアにてのクリームのレビュー・感想・評価

シリアにて(2017年製作の映画)
3.9
これは、自分なら?を考えさせられる作品で、切り口が面白かったです。終わり方も終わらない日常と言う描き方で悪くないと思います。戦闘地域で生活する事の恐ろしさ、それ故に一般人にも降りかかる善悪とは?のジャッジ。答えなど無く、皆大切な人を守りたいだけ。巻き込まれざるを得ない住民達の生活に憤りました。良作だと思います。

シリア·ダマスカス。オームは、戦地の夫の帰りを待ち、3人の子供と義父、メイドのデルハン、そして幼子を抱えたハリマ夫婦と共にアパートの一室にこもり、生活していた。ある日、ハリマの夫は脱出ルートを見つけ、今夜逃げる為の手続きで、アパートを出るとスナイパーに撃たれました。 それを目撃したデルハンは、オームに話しますが、彼女はハリマに伝えようとするデルハンを引き止めるのでした。



ネタバレ↓



伝えれば、皆が危険な目に遭うし、赤ん坊のいるハリマが外に飛び出せば、彼女の命も危険。デルハンは、生きてるかも知れないし、ハリマに伝えるべきだと言いますが、オームに説き伏せられます。
外は、銃撃音や爆破音が鳴り響き、強盗が様子を伺いにやって来ますが、オームは気丈に帰します。しかし、再び戻って来た。オームは、家族を台所に集めますが、ハリマが逃げ遅れ、男達が扉を壊し部屋に入って来た。ハリマは男達に奥の部屋に誰がいるのか聞かれますが、いないといいます。男達はハリマをレイプ。赤ん坊に気づいた男は、赤ん坊を抱き上げます。泣き叫ぶハリマ。それを聞いていたオームの娘達は恐怖に震え、娘の彼氏は助けに行こうとしますが、オームが制止します。 男達が帰り、ズタボロのハリマにオームが、駆け寄りますが、ハリマは拒絶します。 落ち着いた頃、オームはハリマの夫の事を話します。ハリマは怒り狂い「私はあなた達を守ったのに、なぜ隠していたのか」と…。ハリマは夫を連れ戻すため外に出る事を決意。そんな彼女にオームの娘と彼氏が手伝うと言い3人で出て行き、危ない目に合いながらも何とか夫を見つけます。まだ息のある彼を3人で連れ帰ります。
オームは戦地にいる夫の仲間に電話し、怪我人を運んでくれるよう頼み、彼らがやって来て、緊迫した1日が終わりを告げるのでした。しかし、何も解決しておらず、日常は続くのだった。

オームは、部屋が破壊されたハリマ夫婦と赤ん坊を自宅に招き入れ、子供達や義父、皆の安全確保に勤めていた。ハリマの夫の事を彼女にすぐに言わなかったのも強盗に襲われ、ハリマと赤ん坊を結果見捨てたのも全て家族の為、オームだけを責められない。勿論、ハリマは可哀想過ぎたけど…。何か出来たのだろうか?最悪の事態になる可能性もあったのでは?命の危機だけでなく、日々の暮らしの中でも難しい選択を迫られるダマスカスの人々の心の状態はすでにボロボロだろう。興味深く、考えさせられる作品でした。
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