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大人は判ってくれないのクリームのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.0
フランソワ·トリュフォー監督、長編デビュー作。12歳のアントワーヌを主人公に描いた自伝的要素の強い作品で、演じたジャン=ピエール·レオと共にアントワーヌの成長を20年に渡り描いた続編が4本制作されています。このジャン少年がとても魅力的で、彼から目が離せなくなります。素晴らしいキャスティング。内容は親の愛に飢える子供という普遍的なモノだが、ラストシーンのストップモーションが印象的で、解釈は各々と言うのが好みでした。

12歳のアントワーヌは、親子3人で狭いアパートで暮らしている。母は彼に辛く当たり、父は血が繋がっていない。学校では教師から問題児扱いされ、居場所等無い日々。そして、悪友ルネと共に学校をサボるが、町で偶然、母の浮気を目撃します。翌日、学校を休んだ理由を聞かれ、母が亡くなったと嘘をつくのですが…。



ネタバレ↓



嘘は簡単にバレ、怒られたくなくて、帰宅しません。そのうち、泥棒をしたりと、どんどん素行が悪化して行きます。母はネグレクトで、アントワーヌに関心はありません。ボロボロの寝袋に穴だらけのパジャマで寝ます。母は彼を雑用係としてこき使う。 最も悲しいのは、アントワーヌを妊娠した時に本当は中絶しようとしていた事。
義父は優しいけど、適当な人で、アントワーヌに興味はありません。
学校で、自分の経験した事を自分の言葉で書き綴る宿題が出て、アントワーヌは大好きなバルザックの詩を書きました。それを教師は、盗作だ不正だと非難し停学処分にします。アントワーヌは、その詩を書き写したのではなく、暗記して書いたのだと主張しかったのですが、聞く耳を持ちません。
擁護したルネの事も停学処分にします。
ルネの家に匿って貰らい、一時的に逃亡生活をしますが、お金欲しさにタイプライターを盗み売ろうとした為、大人に見つかり、両親は彼を少年鑑別所へと送ります。
親友と離れ、少年鑑別所に閉じ込められる事に耐えら切れず、少年鑑別所から逃走します。
長く走り、海岸に着き、水辺を歩きながら、振り返り、観客と目が合ったところでストップモーションになり、幕を閉じます。

鑑別所に送られる護送車の中で、アントワーヌが見せた涙は、強がっても12歳の少年なのだと、胸が締め付けられました。あんな母でも見捨てられたのは、寂しく悲しかっただろう。
とにかく、回りの大人達は、何故そうしたのか?を一切聞かず、決め付けているのが、最悪だった。
ラストのストップモーションで、アントワーヌが語りかけるのは、「あー、やっと息が出来た!大人は判ってくれないから、大人になるしかないと決意したよ!」と言っている様に見えた。
思ってたより、ヘビーな少年時代に驚きましたが、ジャンのお陰で楽しく観れました。

*みんとさん、leylaさんありがとう♡
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