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死化粧師オロスコのクリームのレビュー・感想・評価

死化粧師オロスコ(2000年製作の映画)
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1996年に釣崎清隆氏が撮った作品です。
死化粧師とはエンバーミングをする人。
内容は、遺体を消毒、保存処理、必要に応じて修復する事で長期保存を可能にします。
コロンビアのエンバーミングをするオロスコと言う人を中心に仕事内容や当時のコロンビアの荒れた街や社会情勢を観る事が出来ます。
酷い治安で、街のあちこち瓦礫やゴミだらけ、ホームレスが道で寝ていたり、死体が転がっています。
詳しい内容は、ネタバレで書きますが、大変なお仕事です。そして、治安が悪かった為、需要も多く肉体労働で身体を壊します。過酷な重労働であるが故に貧困者がする仕事であった様です。
知らない仕事の内容で勉強になりましたが、正直気持ちの良い映像では、ありません。本物の死体の映像ばかりで、モザイク無しです。



ネタバレ↓
遺体を保存する為のちょっと生々しいお話です。ご注意下さい。



映像は市内の様子から入ります。
普通に道端で人が殺され、転がっていて、通学路の脇はホームレスやゴミだらけ、片目を失った男が物乞いをする。そんな街の一角にオロスコの仕事場がある。
全て本物の遺体です。
慣れた手つきで、腹を切り開き、臓器や心臓を一度取り出し、身体をひっくり返すと大量の体液や血液が流れでて、それをホースで洗いながし、臓器を戻して布を詰め縫って、服を着せる。料金は体重で計算するらしいが、だいたい50000ペソ(5000円)オロスコは、貧困層の仕事をしているので、必要以上の事はしません。
赤ん坊も来ます。さすがに臓器等は出さず、そのまま口と鼻に綿を詰めます。

スルと言う街では、掘っ建て小屋だらけの集落の民家の横に死体が転がっています。公園で子供が遊ぶ横の道にも死体。

オロスコは、女性の遺体の処理をし、パンストまで履かせます。拳銃の穴を埋め、軽いメイクをします。

比較的若い女性が殺害された現場の映像で、警察や鑑識が、大勢の野次馬の前で衣服も装飾品も取り、下着姿にして捜査しているのには驚きました。皆、普通に観てる。

オロスコは、次にダンプに衝突された男
の処理をします。内臓が取り出せない場合は、腹を開いてそのまま洗い、大量のホルマリンを防ぎ、布を入れ縫います。

他のエンバーミングの方の仕事も観れました。こちらは、丁寧な仕事で値段も高い。
ナイフを口から入れ、中との間を剥がしたり、目にもナイフを入れ剥がし、その隙間にホルマリンを入れて腐敗を防ぐ。後ろの頭皮を剥がし、頭蓋骨を半分取り出し新聞を詰め、半分の頭蓋骨を戻し、頭皮を戻して縫います。更に綺麗に洗髪し、瞼や口を接着、綺麗に化粧をします。同じ仕事でも全く違いました。

オロスコは、病気で手術をして戻って来たが、術後すぐにこの重労働をした為に病後が悪く、息子が手伝ってはいたものの亡くなりました。

1998年2月
フロライン·オロスコ死去。
生涯50000体以上の遺体をエンバーミングしたらしいが、彼はエンバーミングされず墓もないのだとか。

街の人は、良い人だったと話すが必要以上にオロスコの話をしたがりませんでした。息子ですら、あまり話さない。何かあったのか?と思う終わり方でした。何で息子は、父をエンバーミングしなかったのか?墓もないなんて…。ちょっと気になりました。
エンバーミングの仕事の全容をモザイク無しで観る事の出来る貴重な作品です。また、当時のコロンビアの荒んだ街の様子等も衝撃的ではありましたが、興味深く勉強になりました。

*えくそしす島さん、ありがとう☆
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