かなりランタイムは短いながら、色々なことが立て続けに起きる騒がしい、娯楽色の強い西部劇。
バッド・ベティカーはやっぱこの手のジャンルの名手だな。

アグリー一家(ひでえ名前…)が牛耳るアグリータウンを舞台に、殺人事件に帰郷の徒にある傭兵が巻き込まれる。
被害者はアグリー一家の息子で、加害者の妹を陵辱したかどで復讐された、被害者ロイに非があるかたち。
そこから下手人フアンと、その場のノリに近い形で自分も逮捕された傭兵ブキャナンが、置かれる立場が変わり続ける様を主軸に話が展開して行く。

悪役(保安官ルーや判事でロイの父サイモン)がとにかくクソヤロウなろくでなし(この時代の西部劇でここまで腹芸を駆使するやつらも珍しい)。
アグリー一家側(悪役とはこの場では言い切らない)にも魅力的なキャラは多くて終わる三分前まで息もつかせない。

だが正直、隠れ家に縛った追っ手の馬逃がしとかないのは明らかに悪手で、そこはツッコミどころしかない(まあそこだけではないくらいには、ツッコミどころの多い映画だったが、西部劇はこういうのでいいんだよ)。

バッド・ベティカー✖️ランドルフ・スコットによる【ラナウン・サイクルもの】後期の一本。映画全体にお笑い度が増しており、凝りまくった脚本が特徴でもあるエンタメ。

映像がチープでこのシリーズとしては変化球的な作品として位置付けられるかも。二転三転するストーリーテリングが見もの。

主演のランドルフ・スコットはやっぱり気骨があり男前。いつもニヤニヤしているジョン・ウェインとは違い律儀な佇まいが良い。冤罪シーンや裏切りなど、善vs悪の駆け引きが炸裂した一編。気楽に観れるB級西部劇の決定版。

森や自然の風景、首吊り台など死を連想するモチーフが多々見られ、そのシュールな映像の数々には目を見張る。🤔

• #炸裂ガンバトル
• #ラナウン・サイクル

とんでもない傑作過ぎて拍手してしまった・・・
特に変わったことも何もしておらずアンチスペクタクルな撮り方しかしてないんだけどなー
例えば、ランドルフ・スコットが釈放されるも、後ろから射殺されそうになるシーンでは画面の外で助太刀が入り、敵の死体しか映らないし、デブの宿主がボコられるシーンも同じ。
クソむかつく保安官もランドルフ・スコットに殺されず、死にゆく検事にあっさり撃ち殺されておしまい。
でもめっちゃくちゃ面白い。

ラスト、街から脱出する馬車の荷台がちょうど橋の上で崩れ去り、5000ドルが箸のど真ん中に落ちてしまう。
それをはさんでの悪党保安官との対峙のシーンなんか滅茶苦茶面白かったな。