フライ

ジュリアンのフライのレビュー・感想・評価

ジュリアン(2017年製作の映画)
4.1
調停により離婚した両親。母親と暮らす長女は18歳で親権から外れるも11歳の長男ジュリアンは、親権により父親アントワーヌと毎週末会う事になるが、アントワーヌには問題が…
実際のDV事件をそのまま描いた様な内容は、終盤の恐ろしい展開で身が縮む思いがした。

序盤の調停シーンで分かる家族の問題点。徐々に具現化してみせる父親アントワーヌの怖さと、そんな父親に恫喝、脅されるジュリアンの苦悩。アントワーヌの両親から感じる問題点や、精神的不安定さと豹変していく怖さなどリアル過ぎるストーリーは、人によってはストレスになるレベルの内容。
要所での客観的視点で家族を見せるシーンに作品としての面白さも。

本作の面白さは、ストーリーは勿論だが、アントワーヌ役のドゥニ・メノーシェの鬼気迫る演技と、ジュリアン役のトーマス・ジオリアの健気で弱々しさを感じつつも男気も感じる演技に素晴らしさを感じた。

以前から思っていた子供には父親が、母親が、両親がいないとダメとか言う大人達の身勝手な旧態依然の考えや慣習、法律に、本作を見て尚更苛立ちを覚えた。
子育てに資格は必要無いが、資質は必要だと言う事を改めて感じさせてくれる作品。
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