バンバンビガロ

ネットワークのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

ネットワーク(1976年製作の映画)
3.8
シドニー・ルメット監督によるアメリカンニューシネマとしてもくくられることのある本作だが、この映画は所謂ニューシネマ的状況の一歩先を描いているところが興味深い。
典型的なニューシネマが無軌道な若者が体制に歯向かい散っていくという形をとることが多い中、この映画はジョセフ・ヒース、アンドルー・ポターの『反逆の神話』で語られるような、資本主義や既存の体制から逃れようとするオルタナティブな価値観やムーブメントが大衆の支持を集める過程で数値化され金銭的価値に置き換えられることによって資本主義に取り込まれていく過程が戯画的に描かれている。
ヒッピームーブメント、共産主義、テロリズム、スピリチュアリズムあるいは若者の怒りや本物の狂気でさえも視聴率という計量可能な数値によって商品として利用されてしまう悲しい現実をシステムの内部の視点から描きながら、メインキャストの中で唯一の若者であるフェイ・ダナウェイ演じるダイアナを資本主義に過適応した人物として描くのは非常に鋭い批評的視点であり、同世代の映画と一線を画す先進性があると思う。
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