[”私はあなたが死ぬほど好きです”の破壊力たるや] 100点(ATB)
今年のベスト入りは確実な一本!”金熊取ったし、見るか”くらいのテンションだったが、最高の一本に巡り合えた!まさに、気分は最高!
屠殺処理場で財務部長として働くエンドレと品質管理官として新しくやってきたマーリア。ふたりとも実に不器用で、一歩一歩踏みしめるように近付く姿は心を大きく揺さぶる。の割に映像は淡泊だったりするのだが、その分”赤”が映える美しい画面設計になっている。感嘆。特に、マーリアの部屋の異常な白さは眩しいほどだ。
題名にもある通り、エンドレもマーリアも心と体に問題を抱えている。そして、”夢=心”では繋がっているのに、”現実=体”では裏目に出続けるのは見ていて非常にもどかしい。
中でも特に、マーリアのアクションがいちいち可愛い。塩胡椒の瓶で昼の会話の反省をしたり、プレイモービルで翌日の会話の練習をしたり、人に触れられるのに慣れようと牛に触ったりマッシュポテトを握りしめたり、携帯を買ってエンドレに”携帯買いました!”と報告したり…
ちなみに、ハンガリー語は第二人称が親称と敬称に分かれているらしく、エンドレとシャーンドル(チャラ男)、エンドレとマーリア、マーリアとカウンセラーの距離感を掴む指標になっているらしい(パンフレット情報)。なるほど深いなぁと思ってみたり。
最後に、本作品は”鹿映画”でもある。二頭の鹿は本物らしく、彼らの名演無くして本作の成功は無かったと言えると思う。鹿、可愛い…