芥川賞を受賞した又吉直樹の小説『火花』を映画化。監督はお笑い芸人の板尾創路。
お笑いコンビ「スパークス」の徳永(菅田将暉)は熱海に営業に行った際に関西を拠点に活動する「あほんだら」の神谷(桐谷健太)と知り合う。打ち上げの居酒屋で「俺の伝記を書け」と言われた徳永は神谷との出来事を大学ノートに綴るようになる。
売れない芸人を描いた物語である。どんでん返しがあったり特別な物語が展開するわけではない。売れることを目指して切磋琢磨する若者たちの物語が丁寧に描かれており普遍的な魅力を持つ。
原作を書いた又吉直樹も監督・脚本の板尾創路もお笑い芸人だからこそ、これだけリアルにお笑い芸人を描けたのだろう。
俳優陣の演技も魅力的で、特に「スパークス」の最後の舞台での菅田将暉の熱演は見事だった。
恋愛モノにしたくないのであえて描かなかったのかもしれないが、徳永の20歳前後から30歳前後までを描いていて、恋愛に関係する描写がほとんどなかったのはいささか不自然に感じた。演じている菅田将暉がかっこいいのでなおさら。