ハナカズキ

ミッドナイト・エクスプレスのハナカズキのレビュー・感想・評価

4.5
Netflixでよくお勧めに上がってくるこちらの映画。タイトルは聞いたことがある。でも主演の方全然知らないし、キャスト欄を見てもジョン・ハートとランディ・クエイド(デニス・クエイドのお兄さん?)が辛うじて名前を知っている程度。

そんな感じで気になりつつも後回しにしていましたが、よくよく調べてみたら監督アラン・パーカー、脚本オリバー・ストーンと巨匠二人の名前が並んでおり、即決で鑑賞。

麻薬の不法所持の罪でトルコで投獄されたアメリカ人青年の話。実話。

主役の方は全く存知なかったんですが、ブラッド・ピットにそっくりでびっくりしました。調べてみたらブラッド・ディヴィスという俳優さんらしく、ファーストネームまでブラピと同じ。

この映画は大半がこのトルコの刑務所内での話です。刑務所内の話と言えば「ショーシャンクの空に」がありますが、あちらは刑務所内でも明るさがあり、人々も陽気だったりと見ていて多少は救いがありますが、こちらはそんな明るさの欠片もありません。古くて汚くてじめっとした陰鬱な刑務所の雰囲気が伝わってきて、見ているこちらまで気が滅入りそうな環境です。

またアメリカ人にとって外国であるトルコでの投獄というのも、言葉や習慣の壁が立ちふさがり悲惨な環境に拍車を掛けます。

これは、見ている私が期待しているような展開になるのか、それとも絶望的なエンディングを迎えるのか。どちらとも予想がつかない緊張感が最後まで続きました。

少し話はそれますが、すごく昔に見た映画を振り返ってみると、たった一度見ただけでもストーリーやラストシーンがなんとなく頭に残っている映画もあれば、完全に何も覚えていない映画もあります。なんとなくでも覚えている映画は、自分の好き嫌いはどうであれ、やはり名作と呼ぶにふさわしいのかなと思っています。(もちろん例外はありますが。)

この映画のラストシーンは恐らく今後も忘れることはないでしょう。それほど印象的でした。

この映画が素晴らしいのは、監督、脚本が素晴らしいのはもちろんだとは思いますが、主演のブラッド・ディヴィスの演技が素晴らしく、魂を感じるような熱演。彼の功績は大きいでしょう。

オスカーを取れなかったのかと単純に考え調べてみたら、この年はジョン・ボイトが受賞、その他のノミネートはロバート・デ・ニーロ、ウォーレン・ベイティ、ローレンス・オリヴィエなど超大物がずらりと名を並べておりました。

そして、このブラッド・ディヴィスはオーバードウズで41歳の若さで亡くなっていたことも知りました。残念でなりません。
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