ハナカズキ

ドリームのハナカズキのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.0
舞台は1960年代が舞台、NASAで働く人々、とりわけ黒人女性にスポットを当てた作品です。実話。

さすがNASA、この時代においても能力さえあれば人種関係なく採用していたのか、と思ったのも束の間、採用はしていたもののNASA内にも差別が存在していました。

どうやら給料も全然違うらしい。昇進においてもルールが曖昧にされてしまう。コーヒーポットもトイレも白人用と黒人用に分かれています。トイレ問題は先日見た「ヘルプ」でも取り上げられており、この時代の人種差別の象徴のようになっているようです。

その「ヘルプ」のレビューでも書きましたが、人種差別を扱った作品では心から腹立たしい気持ちにさせられることが多く、今作も腹の立つ場面がいくつもありました。

が、それ以上に女性達が自分の力で未来を切り開いていく力強い姿が印象的で痛快でした。決して常に白人の言いなりではない。

特に黒人女性の一人メアリーが裁判所で裁判官を説得する場面。白人裁判官のプライドをくすぐりつつ自分の主張を訴えかけるのですが、地味ながらこの映画の中でも大きな見せ場だったのではないでしょうか。

また人種差別とは違う視点から見てみても、アメリカの宇宙開発、特に冷戦時代のソ連に後れを取るわけにはいかないという状況の中、NASAの職員が一丸となってプロジェクトに取り組む物語としてもとても見応えがありました。

女性達がそれぞれの夢を追いかけ、またアメリカ全体が宇宙飛行という夢を追いかける。見ているこちらも一緒に夢を追っているような気持ちにさせてくれます。

けど、だからと言って邦題「ドリーム」って。どの映画にもつけられるこの題名。もっとセンスの光る邦題付けてあげてー!
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