2016年、第69回のカンヌ映画祭のパルムドール。
評点が高めだからちょっと前から気になっててやっと辿り着く。今年はヨーロッパチャレンジイヤー、なおさらこれは、と。
なかなか、何とも複雑な心境になる、心がざわつくような、厳しい現実を突きつけてくる作品だった。さすが、パルムドール級。
ダニエルブレイク、妻に先立たれた60歳間際の大工。孤独で寂しい雰囲気が漂い始めているシニア。
働きたいが心臓に疾患があってドクターストップ、そこそこ元気ではあるけど仕事ができなくなる。
ぢゃあ食べていくためには国の援助を受けねば、と各種申請をするも、オンライン化やら、規則なら、規定やら。
誰かが悪いわけではないけど、たらい回しにも遭い上手く進まず四苦八苦。
たまたま職業安定所で同じようなトラブルで言い合いとなってるシングルマザーに助太刀したことで関係が芽生える。
このシングルマザーもアパートを追い出されて2人の子供と困窮した生活を送っていて、役所に紹介された家に越してくるが、その日暮らしのような生活は変わらない。
そこで、ダニエルはこの家族の家の修復などを手伝ってあげることに。
その間も、オンライン化した不服申し立ての申請にチャレンジしてPCの前でイライラ四苦八苦したり。
ダニエルもこのシングルマザーも毎日必死に前を向こうとする。
だけども、立ち塞がる多くの障壁。
彼らのわずかな光を頼りに生きようとする活力を奪うかのような。
世の中は確実に便利にはなっていて、正しい秩序が存在していて、その秩序の中で平和に暮らすのが当たり前。
だが、どうしてもその秩序に乗り遅れてしまったり、弾かれてしまう人が存在する。
その“秩序”は、彼らを救済しようとする手立てを考えてはいるが、彼らからすれば救済になっていないこともある。
心臓が悪くて働けないから手当をもらいたい。
そのためには申請が必要で、その申請には働けないことを証明するために履歴書を書き、就職活動を行い、断られている証拠を揃えないといけない。
施しを受けたいわけではない。
権利があるからその権利を受けたい。ただそれだけ。
それを伝えたい。その気持ちを受け取って欲しいだけ。
自分がやらされていることは一体なんなのか。
どんな人間にもある“尊厳”を守りたい。
この2人、この後半の展開、、、何と言えばいいのか。
やり切れない、、、世間の冷たい側面が、厳しい現実が。
映画として、これほどに現実を突きつけてくる作品があるとは。
“私は、ダニエルブレイク”。
人は皆、生きている。
お金も、地位も、名誉も、何よりもまず生きていること、“尊厳”と共に生きていることこそが人であり、それを守ろうとした彼の人生の物語を描く。
※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
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(まだ始めたばかりでお粗末が過ぎるブログですが)
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