もめん豆腐

しゃぼん玉のもめん豆腐のネタバレレビュー・内容・結末

しゃぼん玉(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

JCOM様の無料提供、ありがたや〜。
だいぶ前に北野武さんが「悪いことした奴は善人しかいない村へ放り込んでしまえばいい」と何かの番組で仰ったのだが、それが映像化されたって感じがした。
卑劣な悪党を演じる林遣都くんが少しずつ少しずつ人を信じる心を取り戻していく、その過程を映した映画。冒頭の悪党顔が恐ろしいのにラストは別人のよう。しかし幾度か途中で悪党の心と葛藤するところもリアリティがあって良い。
事故ったところを無理やり助けてもらったスマさんが本当は悪党の遣都くんを坊と呼び、何度も「坊はええ子じゃ」と褒め称える。何が良かったって、あてくしはこの繰り返されるセリフが堪らなく好きだ。カラッカラに乾いた坊の砂漠の心にじわじわとしみ込んでいく愛。それがちゃんと表情に表れている。スマさん役の市原悦子さんのまんが日本昔ばなし風演じ分けもグッと来た。絶望的な箸の持ち方を指摘する際も、あんな風にやさしく諭されたら意地を張る人も少なかろう。ものは言いようだ。
山の仕事を教えてくれるシゲ爺役の綿引勝彦さんも、配役考えた人グッジョブ!口数は少ないが背中で仕事や男としてどうあるべきかを教えてくれる他人なんてそういない。やすやすと手は貸さないが、いざという時はさっと助けてくれる。厳しさの中のやさしさ。
始まりから終わりまで一瞬も気が抜けないほど話に魅了されてしまって、どうなっちゃうんだろうとヤキモキしながら観ていて、ラストは鼻がツーンと痛くなった。
また何度でも観たい、そう思わせる映画。

⚠この映画はお腹が空いた状態で観てはいけません。とんでもないテロが起こります。椎葉村のテロ、恐ろしや。都内ではとてもとても味わえないようなすんばらしいお御馳走が…😭
もめん豆腐

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