のんchan

嘘をつく男ののんchanのレビュー・感想・評価

嘘をつく男(1968年製作の映画)
3.9
初のアラン・ロブ=グリエ監督💫
ジャケ写に惹かれて...

フランス前衛小説家にして脚本家でもある監督が描いたヌーヴェル・ヴァーグ作品。
全体評価がイマイチだけど、嫌いじゃない、なんか惹き付けられた🥺

原作はホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編『裏切り者と英雄のテーマ』
(ボルヘスはアルゼンチン人なので、昔スペイン語の勉強の為に詩集をただ持ち歩いてました💦)


オープニング、細身のスーツを着た得体の知れない男(ジャン=ルイ・トランティニャン)が森の中を兵士に追われて逃げ回る...

あれ?何かに似てる?
って思うはず...

実はベルトルッチの『暗殺のオペラ』(1970)も同じ原作。
しかし、こちらが2年前の制作です。
ロブ=グリエ監督は"虚構と真実"のテーマに沿って独創的に膨らませているので、内容は全く違うものになっているが、比べて観るのも面白いかも。


第二次大戦末期、ナチ傀儡政権下のスロバキア共和国の小さな村が舞台。
村出身のレジスタンスの英雄ジャンの親友だと名乗る男(トランティニャン)は、自らをジャン・ロバンと言ったり、ボリス・ヴァリサと名乗ったりする端から信用出来ない嘘つき男なのだが、村に辿り着き、村人に不審がられる中、ジャンを家で待つ妻、ジャンの妹、その館の家政婦の3人の女と深く関わっていく。

ストーリーはあるようでないような、観るものはその男に一緒に騙されていく感覚。
私はだいたい映画を一々考察して観ない。
感性を刺激されたくて観ていると言っても過言ではない。
なので、流れる映像と音響の組み合わせを楽しみ、構図が1枚1枚の白黒写真のように思えて素敵だった✨

戦争、革命、英雄、裏切り、女、エロス、メイク、レズビアン、人間の脆さ・危うさ、そして嘘...


※ちなみに撮影監督は『ブリキの太鼓』『ダントン』等のイゴール・ルター
薬剤師役の目力のある女優は監督の妻
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