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白い風船のbennoのレビュー・感想・評価

白い風船(1995年製作の映画)
4.0
ジャファル・パナヒ監督作品…2作品目…デビュー作です…。

師匠であり薫陶を受けているアッバス・キアロスタミ監督が脚本…彼の『友だちのうちはどこ?』を彷彿とさせる子供目線のストーリー…。


舞台はイランの首都テヘラン…大晦日で人々も浮き足だっています…。

白いヒジャブとフリフリのブラウス、白ドット柄の真っ赤なスカートが愛くるしいラジェ…おそらく幼稚園児くらいのお年頃…ある程度恵まれた中流家庭の子供のよう…。

彼女は街の金魚屋さんで見た、白くて大きなヒレがヒラヒラした美しい金魚が欲しくて堪りません…。

イランではお正月に金魚を飾る習慣があるらしいのです…。

最初は取り合ってくれない母親も優しいお兄ちゃんアリが掛け合い、買ってもらえることに…。

大事なお札を空の金魚鉢に入れ…一目散に走るラジェ…。

しかし…そこはまだ幼い子供…街にはたくさんの誘惑が…。

ヘビ使いのおじさんに危うくお金を取られそうになったり…美味しそうなケーキ屋さんを覗いてみたり…。

漸く金魚屋さんに到着するも…お札がない!!

優しいおばさんと今来た道を探して歩きます…。

      『あった!!』

…とその瞬間バイクに煽られお札は側溝に…。


金魚を買いに行くだけのシンプルなストーリー…しかし子供にとっては大冒険…幼い頃に思いを馳せながらノスタルジーを感じます…殆ど半べそ状態のラジェちゃんが愛おしくて、ずっと親目線…。

また、イランの新年の風習やテヘランの市井の人々の様子もとても興味深いです…。


しかし、何故タイトルが『白い金魚』では無く『白い風船』…??

その謎はエンディングで明らかになります…!!

そこはパナヒ監督…( ゚o゚!)えぇっ!! ある意味残酷なイランの社会問題を浮き彫りにしたリアリズム…。

ラストの静止画は(⁎˃ᴗ˂⁎)ƕ-ˀ̥ ˀ̥ ˀ̥ 予想を裏切りられました…とても深い余韻を残します…。
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