キラリ

君の名は。のキラリのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.0
“君の名前は?”

日本国内の興行収入が250億円を超えるメガヒット作品となったのも頷けるほどに、見応えのある素晴らしい青春SF映画だった。

前作までの新海誠特有の切なさを内包した淡く儚い世界観が好みの私としては、今回のような大衆向けのベタな展開は色々と思うところが出てきてしまうのだが、まぁそれはそれとして、細かいところまで計算された緻密なストーリー展開は目を見張るものがあった。素晴らしいものは、やはり素晴らしい。比べるのもおかしいが、宮崎駿作品にも細田守作品にもない新海誠独自の世界。結末がわかっていても数年に1度観返したくなるほど、作品の魅力に心を奪われてしまうのだ。

本作が名作たる所以には、大きくわけて2つのポイントがあると思っている。

まず1つ目は、その圧倒的な映像美だ。新海誠は、東京という街を最も美しく描く人だと思っている。どの描写も光の差し込み方が絶妙で、都会の喧騒も殺風景なコンクリートジャングルも鬱陶しい通勤電車さえもそのすべてが美しく輝いているのだ。さらに、三葉の生まれ育った岐阜の情景描写もこれまた美しい。どこを切り取ってもとにかく美しく、絵画として飾っておきたくなるほど。

そして、2つ目は、声優陣だ。個人的に、アニメの声優に話題性目的で芸能人を起用することに肯定的ではないのだが、それでも今回の神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、成田凌、市原悦子の声には驚かされた。わざわざ言われないと、その芸能人が声をあてていることに
気づかないほどにこのアニメの世界観に自然に溶け込んでいるのだ。とにかく上手い。
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