週末に結婚45周年パーティーを控えた熟年夫婦に、さざなみのように訪れた心のすれ違いを描いた作品。邦題がよい。
映画はパーティーまでの1週間の2人の暮らしを淡々と写す。夫に45年の夫婦の絆を疑う様子はないが、妻の心にさざなみが寄せては返す。同監督作品はWeekendも見たが、抑揚を抑えて心理を浮き立たせるのが上手い。
妻に昔亡くした恋人の話をする夫に、第三者視点で若干苛立ちを覚えつつ、両者の立場と心理に納得できた。妻を愛していることと、昔亡くした恋人が心に居続けるのは矛盾しないだろう。妻は過去の話と頭で理解しながら、心で割り切れず執着するのも当然分かる。やるせない。
私はまだこの夫婦の年代には至っていないが、こういう作品が身に染みるようになってきた。10代20代では間違いなく退屈だったと思う。関係性を維持するには、連れ添った長さに安心せず、さざなみがダムを決壊しないよう弛まぬ注意と努力が熟年カップルといえど必要なんでしょうね。
