てつこてつ

チリ33人 希望の軌跡のてつこてつのレビュー・感想・評価

チリ33人 希望の軌跡(2015年製作の映画)
3.2
事故当時、日本でも大きく報道されていたなあ。

チリの鉱山で起こった事故の映画化なので、勝手にチリ映画だと思い込んでおり、失礼ながらチリ映画の出来映えとかどうなんだろう?とずっと見る機会を延ばしていた。蓋を開けてみれば、ハリウッドマネーがバッチリ入った豪華キャストを揃えた大作で驚き。

アントニオ・バンデラス、ロドリゴ・サントロ、ジェームズ・ブローリン、ガブリエル・バーンに加えて、何と、ジュリエット・ビノシュまで!

700m地下の鉱山の避難場のセットもリアルだし、テンポがいい。

本来、こういう救出物、サバイバル物って、生存者の発見=救出で、その時点でハッピーエンドを迎える物だが、この事故の大きな特徴は、生存者が発見されてからチリ政府がいかに彼らを地底から救出するまで四苦八苦して、結局、落盤事故から救出まで69日間もかかってしまった事。

その事実はニュースで知っていたので、個人的にも、どうやって水や食料を生存者に与えていたのか?最終的にはどうやって救出したのかの過程に興味があったので、あのようなドリルと呼ばれるパイプを通して、水や食料、何と各自にiPod(iPad?)まで与えられ、かつ無線LAN?か何かで700m上の地上の家族と生存者がオンラインで直接話せるほどの設備が整っていたのにはビックリ。

ラテン諸国の明るいお国柄がしっかり伝わる各キャラクターの描写も面白い。

その分、こういったサバイバル物には一番求められる緊迫感をさほど感じられなかったのは残念。地下空間の気温は40度設定な筈なのに、閉じ込められた鉱夫は全員男性なので上半身裸で過ごしていたとは言え、もっと汗ばみ、炭鉱ではないにしろ、もっと顔も身体も汚れていないとおかしいし、69日も閉じ込められていたら、髪も髭もボーボーになっていた筈。例のパイプを通して、丁寧にハサミやひげ剃りなども支給されていたのかな?

自分がかつて香港で急病になり2週間入院という憂き目にあった際の退院時の髪も髭も伸びきった自分自身の鏡に映った姿に衝撃を受けた記憶が強いので、ここの部分は結構気になったかな。

有名な事故・救出劇だったので、多くの皆さんが結末自体は知ってると思うが、やっぱり誰も死なないハッピーエンドな形で終わったのは、こういう落盤事故では奇跡的なことで、鑑賞後の後味もいい。
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