CHIPOCO

ビッグ・ガンのCHIPOCOのレビュー・感想・評価

ビッグ・ガン(1972年製作の映画)
3.8
今作はSAMURAI同様、アランドロン主演、イタリア・フランス合同制作体制で撮影され、73年当時のイタリアを堪能できるフィルムノワールである。
仕事上では淡々と正確に暗殺を行なっていた男が、家庭を顧みて組織を抜けようとするものの、拒まれた上に自身の口封じの代わりに妻と子供を奪われてしまう。
追手は尚も自身の命を狙ってくる。コレを好機と、先手に回り、組織の幹部たちに復讐の弾丸を打ち込みに行く。
非常にわかりやすいノワール作品であると言えるが、カメラワークのアイデアには新鮮さすら覚えた。
ただただバストアップの会話シーンを撮るのではなく、アランドロンを顔面ドアップにして美顔を強調してみたり、引きの画でアーティスティカルさや、目新しさを引き立たせている印象である。
カーチェイスでは、角ばった旧車の数々を創意工夫を堪えた画角でクラッシュさせていき、BMWノイエ・クラッセでルノーのバンを沈没させたり、一般人の車を玉突きでどかせたり、街中の惨劇を起こしているのに格好の良さが際立つ。
列車内での暗殺シーンでは、死体を窓から投げ出させ、トンネル内の電灯を巻き込ませる演出は、今のアクション映画なんかでもよく見る上に遜色ない出来であるように思えた。
シンプルな脚本で、おそらく当時でもこの手のジャンルは鼻白まれていたのかもしれないが、俳優の所作や細かいカット、前述の撮影のポイントなどで重厚感を増させている。
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