BOB

バービーのBOBのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.5
グレタ・ガーウィグ監督&ノア・バームバック共同脚本で制作された実写版バービー。『オッペンハイマー』と共に色んな意味で話題をさらった昨夏の大ヒット作。

"Mojo Dojo Casa House"

"女の子の永遠の憧れ"バービー人形をモチーフに、現代社会の不条理に切り込んだディストピア風刺コメディ。ジェンダーレス社会にインクルーシブ社会と、"2023年らしさ"を象徴するような作品だと感じた。

後半以降、説教臭さが増していったのはとても残念だったが、さすがグレタ・ガーウィグ監督!と思わされる所は多々あった。

"バービー人形が現実の人間社会にやってくる"というコンセプトは興味深かったし、ピンク一色に染まったバービーランドの世界観、バービーランドと人間社会を行き来するシーンの撮影スタイル、"Dance The Night"や"I'm Just Ken"をはじめとするミュージカルシーンは楽しかった。

マーゴ・バービーに影響を与えた女の子の正体を巡るツイストや、バービーの生みの親を巡るツイスト、男社会での理不尽な女性像を言語化すると洗脳が解けるという設定は巧いと思った。

女性の履き物👠は時代の象徴。1988年に公開された『ワーキング・ガール』の中で、メラニー・グリフィス扮するNYの証券マンがスニーカー&ソックスで出社し、職場でヒールに履き替えるという印象的なシーンがあった。あれから35年。本作ではバービーがヒールを脱ぎ捨て、ビルケンシュトックのサンダルに履き替える。時代の移り変わりを強く感じさせた。

男社会の象徴は、西部劇を連想させる馬🤠。男らしさの象徴は『グリース』のトラヴォルタであり、『ロッキー』のスタローン。男社会による洗脳状態を、スナイダー版『ジャスティス・リーグ』を観てる気分と表現。『ユー・ガット・メール』でも言及されていた、"男は『ゴッドファーザー』女は『高慢と偏見』"というステレオタイプ。これらの映画関連のジェンダーネタはどれも面白かった。

"Barbie & Ken"に始まり、"I'm Just Ken"を経て、"I am Kenough"に至るケンの物語。バービーとケンを同等の比重で描いているのが好印象。「今どきの男だ。涙を恥じてない。」って素敵な台詞。誰かを救うことになるかもしれない。

バービーが「私は美しくない」と悲泣するシーンで、突然天から聴こえてくる「マーゴット・ロビーが言うと説得力なし。」というナレーション。思わず吹き出してしまった。鑑賞後、ナレーションの声がヘレン・ミレンだったことを知った。

マーメイドバービーに、"Dance The Night"♪を歌うデュア・リパ。

・ライアン・ゴズリングがケン役を引き受けたのは、自分の娘がケンの人形を潰れたレモンと並べて泥の上に放置しているのを発見したかららしい。
・"You're so beautiful." "I know it."のベンチシーンに登場する年配の御婦人は、『イングリッシュ・ペイシェント』と『マ・レイニーのブラックボトム』で2度、アカデミー衣装デザイン賞を受賞しているコスチュームデザイナーのアン・ロス。御年91歳。

"To be honest, when I found out the patriarchy wasn't just about horses, I lost interest."

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