本年度アカデミー視覚効果賞を受賞した、山崎貴監督の大ヒットゴジラ映画。
「生きろ。」
山崎貴監督作品、初鑑賞。日本産のゴジラ映画は、初代『ゴジラ』『キングコング対ゴジラ』『シン・ゴジラ』に続いて4作目の鑑賞。
期待しすぎたかー、、というのが率直な感想。日本の視覚効果技術が世界で認められたことは喜ばしいことだが、一般的に評価されているほどの"傑作"だとは到底思えなかった。
"好き"と"嫌い"の感情に大きく引き裂かれるような映画体験だった。ゴジラ登場シーンに興奮し、敷島を中心とする人間ドラマパートに興冷めするというのを、何周も繰り返した。もう敷島はどうでも良いから、ゴジラをもっと見せてくれと何度も思ってしまった。
ゴジラ描写は素晴らしい。登場シーンはどれも見応えがあり、圧倒的絶望感と迫りくる恐怖心をしっかり味わわせてくれた。特に、戦後復興中の新宿の街を蹂躙する姿と、熱線放射シーンが圧巻だった。
音に関しても好印象。〈ゴジラのテーマ〉には無意識に心が踊ったし、ここぞという場面でのみ使用されていたのも良かった。ゴジラの咆哮も格好良い。
で、問題は、浅はかな人間ドラマパート。敵前逃亡した特攻隊員・敷島が終わらない己の戦争に決着を着けるというストーリーは決して理解できないものではなかったが、過剰でわざとらしい演技・演出が肌に合わなかったこともあり、敷島の心情に全く寄り添えなかった。敷島だけでなく他のキャラクター達からも、実在感や面白みが感じられなかった。2つほどあるツイストも表面的で全然巧くなく、驚きもなければ感動もない。観ているのが辛くなるレベルだった。
本作の脚本を読んだわけではないし、他のノミネート作品を観たわけでもないし、お前がなんぼのもんじゃい!と言われるのも覚悟の上で言うが、さすがにこれに脚本賞はあげちゃいかんでしょ、日本アカデミー賞さんよ。
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