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ゆきゆきて、神軍のBOBのレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
4.0
太平洋戦争のニューギニア戦線を生き抜いた元日本兵にして、天皇の戦争犯罪を追及し続けた男、奥崎謙三に迫るドキュメンタリー。

戦後38年。終戦23日後に起きたという隊長による2人の部下銃殺事件の真相を究明する。

「人類を啓蒙する手段として田中角栄を殺すために記す」神軍

唯一無二の衝撃作。あまりに鮮烈。『A』『A2』を観た時にも感じた、決して観てはいけないものを観てしまった感がある。凄まじい内容はもちろん、こんなドキュメンタリー映画が存在している事自体にも恐怖すら覚える。観る側のリテラシーこそ試されるが、四の五の言わずに黙って観ろ!タイプの作品。

戦後40年近く公になることのなかった隊長による部下銃殺事件の真相を暴いていく歴史探偵ドラマであり、飢餓地獄と化したニューギニア戦線の真実を生存者自らが語る貴重な戦争学習教材であり、帰還兵および戦没者遺族の終わらない戦争の物語であり、戦争犯罪の責任の所在を問う作品であり、"神軍平等兵"と名乗るアナーキーなヴィジランテによる孤独なそして暴力的な闘いの記録でもあった。どこまで行っても戦争の狂気しかなかった。

やり方は兎も角として、奥崎の揺るぎない信念にも一理あるなと思い始めていた頃にやってくる、あまりにショッキングな結末。完全に突き放された。確かにこれこそ彼の生き様。これぞリアルドキュメント。

昭和天皇パチンコ射撃事件、皇室ポルノビラ事件。白豚、黒豚。

205
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