無知A

湯を沸かすほどの熱い愛の無知Aのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.8
大切な娘の為に、闘病生活の中でも熱心に教育する母親の姿には感動させられた。作中、本来優しい母親が、残される子どものために、心を鬼にして接する様子は愛に溢れていた。私が、今作をはじめに見た時は、結末が想定できるのもあってか、なんと重たい話なのだろうと感じた。だが、それもラストの10分ほどで全てがひっくり返った。正直、今作はラストをどう解釈するかで評価が大きく変わるだろう。確かに、比喩表現としては秀逸だと思うが、活字ではなく映像として見ると、個人的には多少の違和感を感じた。

ただ、病状の進行につれて疲弊していく姿を熱演した宮沢りえの演技力。そして、多種多様な感情を遺憾無く発現する杉崎の演技。ここぞで出てくる篠原ゆき子や松坂桃李といったベテラン。話の内容もだが、演技そのものも非常に素晴らしく、より一層作品が盛り上がっていた。

総じて、今作は結末に関してのみ賛否が分かれそうだが、心に深く染み入る内容だった。子を想うだけならばエゴと言われるかもしれないが、子が親を想っている所を見ると、なんと理想的な親子なのだろうと思う。


(内訳)
面白さ 3.7
学び   3.8
構造 3.8
無知A

無知A