KnightsofOdessa

第七の犠牲者のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

第七の犠牲者(1943年製作の映画)
4.5
No.173[ある邪教脱会者の末路] 90点

RKOの敏腕プロデューサーであるリュートンは短時間低予算を条件に奇っ怪な映画を作りまくっていた。今回も「私はゾンビと歩いた!」と同じく邪教をうっすら描いており、おどろおどろしさのスパイス程度にはなっていたと思う。

女学生メアリーが失踪した姉ジャクリーンを探しにニューヨークへやって来る。ジャクリーンの痕跡はあるものの彼女は見つからない。やがてメアリーはジャクリーンの夫グレゴリーや同じアパートに暮らす詩人ジェイソン、ジャクリーンの主治医ルイスなどと出会い、ジャクリーンが悪魔信仰のメンバーであると明かされる。ルイスに悪魔信仰のことを話したジャクリーンは組織から追われていたのだ。メアリーの熱意に納得したルイスはジャクリーンを隠れ家から元のアパートに帰すも、紆余曲折を経てジャクリーンは自殺する。

悪魔信仰という割にはメンバーの"にわか"感が拭えない。やたら教典を暗唱したがったり、毒入りワインを呑めと圧力をかけたり(普通に殺せよ)、極めつけはルイスが主の祈りを暗唱すると"それ言われるとキツいな"みたいな顔して俯くのだ。しかも、ジャクリーンは悪魔を信仰する前から精神が不安定であり、自殺する理由も不明瞭。

ただ、前半のおどろおどろしさは非常に良かった。特にメアリーが探偵と夜の工場に忍び込むシーンの光の使い方は狂ってる。そして、そういう引き込むような演出があったからこそ、つまらんメロドラマみたいになった後半が勿体ない。

キム・ハンターが途中から星野みなみにしか見えなくなったのはいいとして、"ジャクリーンは一度見たら忘れないくらいの美女よ"とフラグ立てといてジーン・ブルックスのあの髪型は悪意しか感じない。吹いちゃったじゃないか。

追記
アテネ・フランセ文化センターって上映環境悪すぎて、だいたいのやつがChoo Choo TRAINやってんだよね。
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