無知A

ナイトクローラーの無知Aのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
3.9
今作は、ルイス・ブルームという男の視点を通じて、存分に人の残虐性を説いていたように思う。本来、人の悲劇や惨状を目の当たりにすれば、心を痛めるべきかもしれない。だが、多くの場合、人々はその非日常から刺激を求め、嬉々として情報の獲得に努めてしまうのが実際だと思う。今作における主人公のルーは、凶悪な立ち振る舞いをするヴィランだが、彼のもたらす映像の数々を賞賛し、食いつく作中の登場人物達が全てを物語っていたように思う。極端に延べれば、観客にも向けた風刺が感慨深い作品だった。

詰まるところ、今作では、人の不幸は蜜の味だと感じてしまう事の恐ろしさが表現されていた。実際、人と言うのは、そこに刺激的な出来事があれば関心を持ってしまうものだ。だからこそ、今作の内容は誰にでも当てはまってしまう所に恐怖がある。正直、これが傍観者効果の流れとして片付けられる話ならまだ優しいが、今作は主人公が主体的に働きかけている点で、より強烈である。


(内訳)
面白さ 4.0
学び 3.9
構造 3.8
無知A

無知A