イエジー・スコリモフスキ監督作品…3作品目…。
1981年…冷戦時のポーランドの状況を踏まえ、不法労働の実態を描き、異国の地で暮らす就労者の孤独や苦渋が滲み出る作品…。
物語は祖国ポーランドからイギリス、ロンドンにやって来た4人の不法就労者を中心に展開します…。
彼らの仕事は古い家の改修工事…。
祖国では簡単に手に入らない額の前金を手に入れ、1ヶ月の観光ビザで仕事を終えるのがミッション…。
しかし異国の地で、資金も徐々に底を突き始め、仕事も遅れがちに…唯一英語を話せるリーダーのノヴァク(ジェイミー・アイアンズ)は食糧調達のため、自転車泥棒や万引きを働くことに…。
そんな中…愛妻アンナに電話を掛けようとしたノヴァクは交換手から衝撃的なことを告げられます…。
『祖国ポーランドでクーデターが起きワルシャワでは戒厳令が施行された…』
彼らは無事仕事を終え、祖国に帰ることができるのでしょうか…??
そのことを仲間に告げればきっとパニックに…ノヴァクが祖国の状況をひた隠しにする様子は切ないながらも滑稽…しかしそのことで過重労働させられる仲間との間には軋轢が…大きな事件が起きるわけでは無いですが…小ネタが満載で目が離せません…。
精神的にも疲労困憊のノヴァク…祖国に置いてきた美人妻と社長の仲を邪推して夜も眠れません…そして彼女の写真が『ラ・ジュテ』現象に!!(観てのお楽しみ!!) …。
また、娯楽の為に買ったテレビでサッカー観戦に盛り上がるも、いいところで故障…仲間たちが暴れ狂います…凄すぎてꉂ笑꒱ …ヨーロッパのサッカー熱は熱過ぎます꜆꜄꜆
同監督の『アンナと過ごした4日間』同様…主人公はやってはならない行為を犯しますが…不幸の連続に見舞われつつ、必死で生きようとする姿はいじましくも笑えます…。
この監督さんのユーモアの描き方は気を衒わず、必死すぎる真面目さを可笑しみに変える天才…そして今作は音楽は少なかったですが曲のセンスや音の使い方も巧いです…。
ラストも轟音でとってもシュール…ෆ*