MrFahrenheit

湖の見知らぬ男のMrFahrenheitのレビュー・感想・評価

湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)
4.2
アラン・ギロディー監督作品。約100分美しい静かな湖畔(ハッテン場)のほぼワンシチュエーション、登場人物全員男、大体裸、きつい性描写、BGMなし、そして殺人事件発生という強烈な映画だった。面食らったが面白かった。ショートフィルムでよさそうな内容なのに、結果的に100分見入ってしまった。気軽に人にはおすすめしませんが…。

毎日昼間から美しい湖畔(ハッテン場)にやって来る人たち。同じ光景。同じ顔ぶれ。今日も明日も明後日も。タイムループ物と錯覚してしまいそうだ。あなたたちどうやって生活してるの?などと思ってしまったが、ハッテン場の外の世界は一切映されない。楽園に集う人たちが下界で何をしていようが関係ないと言わんばかりに。そして事件発生。刑事登場。色々と困惑するものの、目が離せない。

削ぎ落とされたシチュエーションや会話の中に、性に突き動かされる人間の虚しさやおかしさ、性がアイデンティティに与える影響、性だけでは満たされない渇望感など感じとれたが、同性愛を描いた作品によくある何かいいメッセージを発してやろうとしてないところもかっこいい。

性と生の生々しさと同時にどこか神々しさもあった。フランス映画っぽいフランス映画だった(?)