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キングスマンのnetfilmsのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
3.7
 1997年中東、01-ファルコンにぶら下がる“キングスマン”のエリートスパイ、ハリー(コリン・ファース)はある男と行動を共にしていた。施設内での尋問の場面、ハリーは犯人に詰め寄るが、手榴弾を隠し持っていた犯人に気付き、ハースは命を救われるが相棒が犠牲になる。ロンドンの貧困住宅、夫を失い泣き崩れる妻ミシェル・アンウィン(サマンサ・ウォマック)の姿。言葉をかけられないハリーはまだ幼い息子のゲイリー・“エグジー”・アンウィンに「何かあったらここに連絡しろ」と勲功のメダルを託す。それから17年後のアルゼンチン、アーノルド教授(マーク・ハミル)を救出に向かった“キングスマン”の仲間ランスロット(ジャック・ダヴェンポート)が何者かに殺される事件が起きた。ロンドンのサヴィル・ロウにある高級スーツ店“キングスマン”の実体は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関。“キングスマン”のエリートスパイ、ハリーはブリティッシュ・スーツをスタイリッシュに着こなし、組織の指揮者アーサー(マイケル・ケイン)のもとで日々秘密裏の活動を行っていた。一方その頃、父を失ってから自堕落な日々を送るゲイリー・“エグジー”・アンウィン(タロン・エガートン)は今日も悪友たちと街角で大暴れしていた。車の盗難容疑で逮捕されたエグジーは突然、幼い頃の記憶を思い出し、男が連絡しろと言った番号に電話をかける。するとそこにはハリーの姿があった。

 マシュー・ヴォーンの名作スパイ・アクション「キングスマン」シリーズの記念すべき第一弾。貧民街に住む自暴自棄になった不良少年は、かつて父親と行動を共にしたハリーに出会うことで、“キングスマン”の採用試験を受ける。紙一重の人生で散った命の恩人の息子に向けるハリーの眼差しは代父にも見える。オックスフォード大学にも行けないような荒くれ者だったエグジーは、諜報学校で学んだ仲間たちと味わったことのない青春を謳歌する。それは同時に夢にまで見た天国の父親と同じ体験を共有することにもなり得る。就寝時間の水責めやパラシュートなしのスカイダイビングなど心底無茶な試験を受けたエグジーはスパイに必要ないろはをロキシー・モートン(ソフィ・クックソン)と共に習得して行く。一方、巷では科学者や王族の失踪事件が頻発。その裏にIT富豪のリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)の恐るべき計画が実行に移されようとしていた。今作の旨味は貧民階級であるエグジーが上流階級のハリーの手引きで、ダサい少年から高級スーツ姿のエリートスパイに変身するところにある。まるで「007」シリーズのジェームズ・ボンドのような数々のガジェット、両足が鋭利な刃物で出来ているガゼル(ソフィア・ブテラ)という名の殺し屋との死闘、未熟だったエグジーは代父ハリーの手解きを受け、ジェームズ・ボンドやジェイソン・ボーンならぬジャック・バウワーのような一人前のスパイ(傭兵)へと成長して行く。クライマックスのスロー・モーションによる脳みそ破壊描写の馬鹿馬鹿しいまでの快楽は10年代屈指の魅力を誇る。
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