第二次大戦後の虚無的なアナーキストたちのテロ行為に政治理念はなく、刺激の延長で空虚であり、しょせん資本家の傀儡(かいらい)である事を描きたかったのだろうか。
ラストにおける仮装の銃撃シーンは当時としてはスタイリッシュよろしく、鮮烈な映像だと思う。ノーランの「ダークナイト」のオープニングにも少なからず影響を与えているのではないかと思われる。
それにしてもファスビンダーは何者だろうか? 数えるほどの鑑賞だが、見れば見るほどつかみどころのない雲のような男である。
話は変わって宣伝になりますが、
【ライナー・ベェルナー・ファスビンダー傑作選】が
7月28日(金)Bunkamuraル・シネマほかで過去の名作が上映されます。
『不安は魂を食いつくす(不安と魂)』
『マリア・ブラウンの結婚』
『天使の影』
現在DVDがネットオークションで高騰している作品もありますので、レビュアーの皆様はこれを機にニュー・ジャーマン・シネマの寵児であるファスビンダー映画の醍醐味を劇場で味わって頂きたいです。
何卒よろしくお願いします。
[ブルーレイによる購入・視聴]