ハンスウ

ブロークン 過去に囚われた男のハンスウのレビュー・感想・評価

4.0
以前はアル・パチーノ出演作品を追いかけるように、または過去作を掘り返すように観てたし、ビデオやDVDの所有も俳優別で言えばアルパチーノ出演作が1番多いくらいファンだったんですよ。70年代から90年代くらいまでは、どの出演作でもだいたいダンスシーンがあって笑っちゃいましたけど、こんなことができる俳優は考えてみたら他には思いつかないですよね。今はもう全盛期も過ぎてここ10数年くらいは観てない作品も何本かありますけど、今作はそのうちの1本で久々にアル・パチーノを観てみました。73か4くらいの頃の出演作です。

これはなんだろ、ここまで評価が低い理由がわからないけど、まあ、若い人がいきなり観ても何も刺さらないというのはあるかもしれません。おいぼれじいさんの独りよがりといえばそれまででしょう。それにナレーションが全編を通して多用されている。普通だったら私もナレーション多用をボロクソたたくところだけど、そのナレーションがアル・パチーノのモノローグであれば話は別です。ガラガラのダミ声で自分を卑下するじいさんの独り言みたいなモノローグだけど、誰もマネ出来ないようなその語り口には、その世界観に引き込むような力を感じました。個性の強いベテラン俳優の熟練の技ですね。

「シー・オブ・ラブ」や「フランキー&ジョニー」みたいな、アル・パチーノの女性を口説くシーンは毎回毎回憧れてましたけど、今作でも口説くシーンがありました。ヒロインはシワシワでも美しいホリー・ハンターでしたけど、カウンターに肘つきながら思いついた言葉をどんどん並べていくような感じで喋ってくんだけど、70過ぎてもかっこいい……。 どうすればそんな風にできるのか不思議でしょうがない。この辺は人間技とは思えないです😂 

また、ホリーとデートするシーンで一回失敗するんだけど、このシーンも必見ものでした。まるで俳優のお手本のようなシーン。途中でアルが他の女性の話をし始めて、ホリーがみるみるうちに傷つけられていく様子が表情だけでわかるという映像でしたけど、お互い年配の男女だけに痛々しい決まり悪さのようなものが映像に映し出されていたのが素晴らしかった。これはもっと早くに観ればよかったヤツでした☺️
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