やべべっち

ブロークン 過去に囚われた男のやべべっちのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

体癖講座の先生が9種体癖を知る映画として挙げておられていたので見てみた。成程これを体癖論を知っているので知っていないので全く見方が変わる。

孤独なマングルホーンは一見すると偏屈で息子には冷たく、良い関係になりつつあるドーンに昔別れた女性クララの未練を垂れ流し振られる。自分を慕ってくれている息子の同級生のマッサージ屋に行って筋違いのクレームをつけて殴り飛ばしてしまう。表面的にみるとマングルホーンの老害ぶりしか目につかないだろう。20代の頃ならこの話はそうとしか読めなかった筈だ。

だが繰り返す、これは9種体癖の老人の話なのだ。9種体癖の人間はとにかく束縛を嫌う、そして同時にたった一人の究極の師匠や女性に全てを捧げたいとも感じている。この矛盾というか循環があるのだ。考えてもみよう、普通結婚もしなかった多分40年以上も前の女性のことを思い続けたりするだろうか、それを馬鹿正直に良い関係になりつつある女性にその未練を垂れ流したりするだろうか。そこにとてつもない9種体癖の純粋性というか集注、執着があるのであり他の体癖の人には解らないし共感できないのだ。

そんな9種体癖は意外にも周りからかなりリスペクトされているのだ。息子も息子の嫁も「コーチ」と慕ってくれる息子の同級生の口からマングルホーンは何かフォースを使える人物である事が明かされるのだ。

過去への執着は要注意。幾ら行動を変えても周りに恵まれていてもそれは現在や未来を縛ってくる。変えられるのは現在や未来ではなく過去との向き合い方なんだとこの映画は教えてくれる。

それにしても「Bones and All」のデビッド・ゴードン・グリーン監督良い映画を撮るね。このマングルホーンは誰かのモデルがあったのか知りたいものだ。